iwamotの非技術日記(映画、音楽等)(アーカイブ)

はてなダイアリーのサービス終了をうけて移行したものです。更新はしません。

柳原陽一郎のライブを観た

下北沢の440柳原陽一郎のライブを観てきました。ちなみに440は「フォーフォーティー」と読むようです。

柳原陽一郎」と書いても分かる方は少ないかもしれませんが、昔「たま」というバンドで「さよなら人類」という曲をピアノを弾きながら歌っていた人です。1990年に「たま」でメジャーデビュー、95年に脱退、その後ソロで活動しています。

90年のメジャーデビューから数えれば、今年で20周年ということで、それを記念したライブが1月から5ヶ月連続で行われます。今夜のライブがその第1回目でした。

ライブの主旨は、たま時代を含め、CD収録曲をほぼすべて歌うというものです。1回目の今夜は、インディーズ時代から、たまの4枚目のアルバム『犬の約束』まで。セットリストは以下の通りです。カッコ内には注釈を入れました。MCはうろ覚えです。

1. 牛小屋(アルバム『ひるね』より。MC「すべてはこの曲から始まった」)
2. 満月ブギ(ナゴムレコード時代のEP『でんご』より)
3. パラシュート(シングル『日曜日に雨』のB面。発表年的には次回ライブのほうが適切なはず。作ったのが古いということですね)
4. さよなら人類〜満蒙開拓団(アルバム『さんだる』より。「さるーさるー」のコーラスの前に、CD未収録ながら古いファンにはおなじみの曲「満蒙開拓団」が演奏されました)
5. ぼくはヘリコプター(アルバム『きゃべつ』より。MC『「とこやはどこや」とともに、なかったことにしたい曲』)
6. とこやはどこや(アルバム『きゃべつ』より。MC『友部正人さんに「ヤナちゃんでいい曲はこれしかないよね」と言われ、寝込むほどショックだった』)
7. ジャバラの夜(ナゴムレコード時代のアルバム『しおしお』より。MC「ソロで弾き語りしても受けなかったが、たまでやると反応が違った。それでバンドもいいかなと思えた」)
8. どんぶらこ(アルバム『さんだる』より)

(ここで30分ぐらい休憩)

9. 自転車(アルバム『犬の約束』より。MC「京王線で、歌詞を考えるためウォークマンを聴きつつつぶやいていたら、車両から人がどんどん少なくなっていった」)
10. れいこおばさんの空中遊泳(アルバム『さんだる』より。MC『初めてインタビューを受けた曲。「”そんなに飲みたきゃ飲めばいい 屈斜路湖の水でも飲めばいい”という歌詞はどういう意味ですか?」「分かりません」』)
11. 夜のどん帳(アルバム『犬の約束』より。MC『当時「ポーグス」というバンドが好きで、それを意識して土着的なリズムの曲を作った』)
12. オリオンビールの唄(アルバム『ひるね』より。MC『最初は「6人のママと8人のパパ」という曲名だった。あんまりだと思ったので変えた』)
13. お経(アルバム『ひるね』より)
14. マリンバ(アルバム『ひるね』より)
15. オゾンのダンス(アルバム『さんだる』より)
16. 満月小唄(アルバム『きゃべつ』より)

en1. たかえさん(アルバム『犬の約束』より)
en2. ばいばいばく(シングル『海にうつる月』のB面)

バンド形式で、ギターはボンデージフルーツ鬼怒無月、ベースはティポグラフィカ水谷浩章(柳原さんとは高校の同級生だそうです)、ドラムは同じくティポグラフィカ外山明と、その筋の人にはたまらない豪華メンバーでした。演奏にはやはりフリージャズっぽさがあって、メロディを崩して歌うタイプの柳原さんにはぴったりの印象でした。「たま」はいわゆる「決め」が多いバンドだったので、柳原さんには窮屈だったのではないかと邪推します。個人的には「決め」が多いほうが好みですが。

MCでは「たま」時代のエピソードがふんだんに語られました。『佐賀県でライブしたとき、お客さんに「どこの施設から来たの?」と、まるでリハビリ患者たちのバンドであるかのように尋ねられ、それがきっかけでMCをちゃんとするようになった』という話がツボでした。

このあたりのエピソードや、セルフライナーノーツなどをまとめた本が春頃に出る予定だそうです。タイトルは『ヤナソロジー』だったかな。

私が柳原さんを観たのは、95年のたま脱退ライブ以来のことです。失礼ながら、ちょっと老けたような気はしますが、あの艶のある声は健在でした。来月の2回目も楽しみです。