たばこと塩の博物館「デザインの力 たばこにみる日本デザイン史」を見た
渋谷にある「たばこと塩の博物館」で、特別展「デザインの力 たばこにみる日本デザイン史」を見た。何を隠そう私はレトロなデザインに目がないのだ。とくに大正から昭和初期にかけて作られた商品や広告のデザインは、たばこに限らず、創造性あふれるものが多く、現在よりも優れているように感じられる。
三越呉服店のグラフィックデザイナーとして知られる杉浦非水(1876〜1965)の「響」、そして非水の弟子である田中冨吉(1903〜1997)の「新生」が、私の気に入った。新生が発売されたのが昭和27年、大正からこのあたりまでがパッケージデザインの黄金期ではなかったか。和田誠の「ハイライト」(昭和35年)も私好みではあるが、デザイナーの「我」が薄いように感じられる。芸術半分だったデザインが、完全なるデザインに変わってしまったのだろう。それが私にはつまらない。
非水、冨吉のふたりが長命であったのは、いきいきと仕事していたからに違いない。良い仕事をすればそれが後世まで残るのだから、デザイナーとはなんと羨ましい職業であることか。