iwamotの非技術日記(映画、音楽等)(アーカイブ)

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『ディア・ドクター』(舞台挨拶あり)を観た

池袋HUMAXシネマズで『ディア・ドクター』を観た。西川監督の前作『ゆれる』は、男性が美化されているように感じられて好みではなかったのだが、『ディア・ドクター』の登場人物は100%の善人でも100%の悪人でもない人たちばかりで、そのことに好感がもてた。他人のために良かれと思って罪を犯す犯罪者もいるだろうし、戦争反対を訴えておきながらDV離婚する作家もいる。人間なんて所詮そんなものなのだ。

西川監督の映画は、説明的な描写が少なく、ときに登場人物のとる行動が突飛にみえる。しかし実生活を考えてみれば、同僚だろうが友人だろうが、なぜそんなことをするのかと驚かされることは多い。私だって他人からみればそうだろう。行動の何から何まで説明がつくはずもないのだ。ミステリ映画ならば登場人物の性格や行動を緻密に描く必要があるだろうが、そうでないならこのぐらい突き放されたほうがかえって気持ちがいい。

上映後、西川監督と主演の笑福亭鶴瓶が登壇した。司会者の質問に登壇者がぼそぼそと答えるのが普通の舞台挨拶だが、今回はほとんど鶴瓶師匠の独演会だった。「瑛太はよくしゃべるようになった。『ガマの油』や『余命1ヶ月の花嫁』のときはそうではなかっただろう」という話が面白かった。西川監督は私より年下なのだが落ち着いている。うらやましい。